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brexitを考える

個人的には、今回のイギリスEU離脱はギリギリでとどまるのではないかと考えていただけに、
大きな衝撃だった。
他のEU諸国でも、国民投票を行えば同様の結果に結びつく可能性は高いだろう。
ただし今回の件が問題なのは
世界規模の金融不安や、紛争リスクをもたらすかもしれない爆弾を、キャメロン首相が国民をつかって
爆発させたって事であり、そのような国民投票を行った事が、そもそもの誤りなんだと思う。
結論を出したのは国民であり、国民にも責任はある。
一方で半数近くはEU残留を望んでいたのに、EU離脱のつけを払わされる多くの国民も、
ある意味被害者なのかもしれない。
今回の投票を見て考えたのは、「多数決で決めてはいけない事」についてである。
例えば、税金は「若者からだけ徴収しましょうという」という法律を、多数決で決める事にする。
人口比率として、若者の方が少ないから、そのような議案を国民投票にしたら半数を上回る可能性はある。
不公平な条件を、数の力で正当化してはならない。
で今回の投票(EU離脱)は、どのような部分で多数決で決めてはいけない事だったのだろうか。
例えばTPPへの参加表明を国民投票で決める。
TPPで利益を得る人もいるだろうし、不利益を被る人もでるだろう。
そういった問題を多数決で決めるのは、一見正しそうに見えるが、望ましい事ではない。
しかもEU離脱に関しては参加ではなく離脱であり、EU諸国民側の意見は投票という形では反映されていない。
じゃあどうするべきか、まず世論調査を行う事自体はOKだと思う。
しかし、実際離脱するかどうかは、正しい判断ができそうな人に、判断をゆだねるのが、妥当なのかと思う。
判断を委ねられる人は、正しい判断を行うために様々な調査を行い、正義や、公平を考えた上で判断を行い、
そのように判断した理由を説明する必要がある。
個人的に、大衆の価値観や意見を可視化する事は重要だと思う。
多くのひとが集まって考えれば、その中に良いものや正しいものがあるはずだと思う。
しかし、多数決すれば正しいものが選ばれるかというとそうではない。
3つのグループ(1グループ12人)があって、2択クイズをする。もちろん正解グループが勝ち。
Aグループは、1人回答を知っている人がいて、その人が回答することにする。
Bグループは、2/3が正しい回答を知っているが1/3には間違った答えを教えてあり、
多数決で回答を決めることにする。
Cグループは、半数が正しい回答を知っているが半数には間違った答えを教えていて、
多数決で回答を決めることにする。意見が半分に割れるので、回答が揉めたあげく結局、くじびきか、
じゃんけんで回答を決める事になる
この場合A、Bはおそらく正解。
Cの正解率は半分ぐらいになる。(実際には都度変動する)
つまり多数決が有効なのは半数以上が正解を知っている場合に限定され、
しかもCグループは、AグループAより正解を知っている人数が多いにも関わらず、
正解を選べないという状態である。しかも回答で揉める。
少し話が遠回りしたが、正しい解答を得るためには、正しい解答を得られる場合に多数決を利用するべきで
あり、単純に意思決定の責任を民衆に転化するために多数決を利用するのは間違っていると思う。
これから日本では参院選があり、東京では都知事選がある。
アメリカでは、大統領選挙がありともすればトランプ氏が選出される事だろう。
大衆が現実を直視し、改善する事より、
責務を放棄したり、現在を否定する事ばかり求めるのであれば、また中身のない野合が勢力を伸ばす事になるだろう。
一言でいえばポピュリズムの台頭と民主主義の堕落である。
都知事は、できれば優れた人物が候補に上がってくれればそれに越した事はないのだが、
なりたい人もそんなにいるわけでもないし、投票に参加する都民も(有権者の)半数以下とそんなに都民の意識も高くないわけで、そこそこの人がなってくれれば良いと思う。

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