Press "Enter" to skip to content

日本のサービス業は労働生産が低い

よく言われる話に、日本のサービス業は労働生産性が低いというものがある。
日本のサービス業、そこそこITとかロボットは導入されているし、生産性が低いと言われてもいまひとつしっくり来ないので、いくらか調べつつ掘り下げてみる。
一人当たりの労働生産性は、
付加価値÷平均従業員数
というわけだが、付加価値とはなにかを掘り下げると、
売上高 − 外部購入価値
ということなのだが、この「付加価値」の部分から給料が支払われる。
要は仕事に対して生み出されるお金が少ないということになるが、
はたして原因はなんだろう?。
一つ確かなのは、お金(報酬)に結びつかない仕事が多いということだ。
商品で考えるとわかりやすいが、1時間かけて作った料理と、3時間かけて作った料理。
準備に10分かかったものと、準備に1日かかったもの。
回転率の高いものと低いもの。
手間をかけたり、丁寧に作ることで、多くの場合品質が向上するだろうが、それをその分、価格に転嫁できるかというとなかなかそうもいかない。
わかりやすいのが、サービス業。
近年日本は、サービス業のウエイトが大きいが増えている一方で、サービス業の賃金は安いので、
労働生産性が低くなっている。
つまり労働生産性というのは、生み出されるサービスが高くても、支払われる価格が安ければ、
下がってしまうのである。
なぜ品質やサービスが良くても、支払われる価格が下がってしまうのだろうか?
今度は、製品をイメージして考えてみる。
日本の場合は、より高機能、高付加価値という方向で商品の向上が図られる場合が多いが、
これだと、工数も拡大するし、製造コストも増加してしまう。
それに打ち勝つためには、次のような発想が必要だ。
・ほぼ同じ品質で製造コストを半分にする。
・ほぼ同じ品質で工数を半分にする。
・不要な機能を削って価格を減らす。
・広告宣伝費を削減して同じぐらい売れるようにする。
・供給が過剰な分野からは撤退する
・石橋を叩き過ぎない(過度なチェックを省く)
日本は、引き算の製品づくりが苦手と言われる。
これからはサービス業においても、引き算のサービス提供、サービスをコンパクトにするという考え方も必要なんじゃやないかと思う。
そこで、日本の企業ににありがちな、風習をあげてみたい。
【残業】
疲れている状態での仕事は生産性が低い
日本の企業は残業時間が長いと言われている
無駄な残業が労働生産性を下げている。
【年功序列、終身雇用 】
どちらも生産性とは異なる基準軸でのシステムであるがゆえ、生産性は低下する。
ある程度転職しやすい環境を作り、生産性に応じた給与体系が必要。
【スペック過剰】
日本のサービス全体として、価格に対してのクオリティは高い水準にある。
一方で、多くの場合はクオリティを向上させるために、原価や、時間をより多く必要とし、高品質では
あるが、収益率が悪いという結果につながっている。
ただし、これはサービス提供側の問題なのかというと、かならずしもそうではなく、消費者の要求レベルが高すぎるというのももう一つの問題なのかと思う。
【需要不足・供給過剰】
都会の店舗(飲食店や、デパートなど)をみると、人通りは多いが、店内はガラ空きなんて事がよくある。
人口の増減が横ばいで需要は増えてないが、供給は継続されている。
企業はあの手この手で需要を喚起しようとするが、結局のところみんなお腹いっぱい。
まとめると、日本の企業が生産性を上げるために
企業レベルとしては、ロボットやITによる、作業の省力化や、効率化、教育の充実が必要だが、
消費者側も、品質に直接影響が少ない部分での過剰サービスを求めないか、その分の費用を払う必要がある。
さらにマクロ的な観点からすると、需要に対する供給自体を減らす必要があり、それを調整するのは政府の役目なのかもしれない。
ただ現実問題、政府にその調節能力があるかというと微妙だし、資本主義の競争原理にまかせておけば、いずれ調整されるかというと、それも疑問だ。
最近のニュースをみていると、競争のあるところには不正ありという感じで、別に競争は悪い事ではないが、カードが限られている世界で、延々とババ抜きを繰り返すようなゼロサムゲームにどれだけ意味があるかはわからない。
そもそも労働生産性の低さは誰にとって損なのかというと、労働者にとって損なのだが、
その損が、時間をかけて、生活者にも回ってくるわけで、これは社会全体で是正していく必要があると思う。

Be First to Comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です